ビタミンA(レチノール)誘導体の1種であるトレチノインは、ビタミンAの50~100倍もの効果があるとされている成分で、以下のような作用があります。
- 表皮や角質のターンオーバーを促進
- 色素沈着の原因であるメラニンを排出
- 真皮にある繊維芽細胞に作用し、コラーゲン生成を促す
- 皮脂線の機能を低下させ、皮脂の分泌を抑える
こうした薬理作用がニキビ・しわ・シミの改善に効果的であるということで、0.01%~0.1%の濃度で配合されたクリーム・軟膏・ジェルなどがクリニックでの外用薬治療で使用されています。
トレチノインのメリット
色素沈着の解消に高い効果
ニキビができにくい肌質への改善効果
トレチノインのデメリット
赤みや皮剥けなどの初期症状が必ず起こる
自由診療となるので費用がかかる
トレチノインの使用方法
クリニックの治療方針によって変わりますが、1日に1~2回使用します。
最初の3日程度は朝晩使用し、トレチノインの反応が現れ始めたら夜だけの使用に切り替えます。
- 洗顔後、化粧水や美容液でしっかり保湿する
- トレチノインを綿棒などで色素沈着がある部分に薄く塗る
- 肌の乾燥が気になる場合、薬が乾いた後に保湿クリームを使う
- 朝トレチノインを塗った場合は、必ず日焼け止めを塗って紫外線対策をする
普段通りのメイクをする事は可能ですが、トレチノインの吸収を妨げる原因となるので、乳液やリキッドファンデーション等は使わないようにしましょう。
治療期間と使用量
トレチノインによる治療は1~2ヶ月ほどが1クールとされています。
肌への刺激が強い薬剤なので、治療後は1ヶ月以上の休薬期間を設けなければなりません。
赤みや色素沈着の治療でトレチノインを使用する場合、患部に薄く塗るのが原則です。
また、トレチノインは変質しやすい薬なので、開封した後は冷暗所で保存し、1ヶ月ごとに新しい薬を処方してもらいましょう。
トレチノインの副作用
トレチノインは血液中にごく微量に含まれている成分のため、アレルギー反応や毒性反応を起こす心配はありません。
ただし、痛みがひどい、ひどくしみる、血が出る、といった反応がある場合、皮膚炎を起こしている可能性があります。
トレチノインの使用を中止してクリニックで診察してもらいましょう。
無理な治療を続けると逆に炎症性色素沈着を起こしてしまいます。
トレチノイン治療のポイント
強力な効果がある反面、トレチノインにはアレルギー反応に良く似た反応が必ず起こってしまいます。 以下の点をきちんと把握した上で治療に臨みましょう。
必ず起こるレチノイド反応
強力なターンオーバー作用がある成分のため、治療開始3日目くらいから赤み・乾燥・皮剥け・ヒリつきなどのレチノイド反応が起こります。
レチノイド反応は4~6週間は続き、その後は肌が薬に慣れるので徐々におさまってゆきます。
これらの症状は個人差によって大小あるものの、必ず起こる事であると理解した上で治療に臨みましょう。
レチノイド反応が全く起こらない場合、トレチノインの濃度が低かったり、肌質に合っていない可能性があるので、クリニックへ治療方針について相談してみましょう。
紫外線や肌への刺激を避ける
ターンオーバーを促進するという事は、同時に角質層が薄くなって肌のバリア機能も低下すると言う事です。
治療中は低刺激の化粧品でケアするようにしましょう。
また、トレチノインは紫外線に反応して肌にダメージを与える光毒性という作用があります。
UV対策を怠ると逆に色素沈着が悪化してしまうので、外出しない場合でも日中は日焼け止めを塗るようにしましょう。
肌への刺激を避けるため、SPF30以上の紫外線吸収剤が入っていない日焼け止めを使うようにしましょう。
トレチノイン治療の注意点
以下の人は、トレチノインの使用ができないので注意しましょう。
- 妊婦、もしくは妊娠している可能性がある人
- 授乳中の人
- 12歳未満の小児(※安全性が確立されていません)